TECHNICAL INFO.
車体の軽量化を進めるにあたり、ボデー部品を構成する骨格の重量を減らすことは必須課題となっています。その為の手段として超ハイテン材と呼ばれる1180MPaの引っ張り強度を持った鋼板を用いています。センターピラーの補強やドアの下を通すロッカー、座席の下で左右に走っているフロアクロス等、主に側面衝突、オフセット衝突などの安全面や車体のねじり、走行中の異音などの乗り心地に関する対策と言った重要な部品に用いられています。現在では、さらに高強度な1470MPa材の採用に向けて工法開発を進めています。
ホットスタンプ専用の材料を約900℃まで加熱し、プレス加工するのと同時に、金型で保持/急冷し、材料に焼き入れをする事により、1470MPa級の高強度な製品を作る技術です。
また、材料を加熱する事により材料が軟化する為、今までの一般(冷間)プレスよりも、製品精度も出しやすい、という利点もあります。
自動車内装部品など人が触れる部分に柔らかく心地よい触感を低コストに実現する技術「とよとつ」。微細凸形状のレイアウトや角度を変更する事で、お好みの触感(好触感)を自在に実現できます。
『トヨテツの凸構造 → トヨトツ → カタカナは固い感じ… → とよとつ!』
ホットスタンプ材は焼き入れ後高強度になる為、穴あけや複雑な3D形状のトリム加工をレーザ切断機にて行っています。
レーザ切断は製品にレーザ光を当てて照射部を溶かし、高圧のエアーで溶かした部分を除去することで切断を行うものです。
レーザ光は非常に細かいため、精密な加工が可能です。
素材接合とは板厚や材質の異なるの鋼板を接合する技術で、豊田鉃工ではマッシュシーム溶接、レーザー溶接、プラズマ溶接、レーザーアークHV溶接、レーザーフィラー溶接の5つの加工方法があります。
生産数、形状、材質により最適な工法で加工することができます。
プラズマ溶接とはプラズマガスで酸素を遮断して電極と母材の間にアークを発生させて熱で母材を溶かして溶接する溶接方法です。
プラズマ溶接の溶接板厚は0.1mm以上であるため、薄板の製品を加工することに適しています。
接着剤は部品の強度を上げるために使用します。
接着剤塗布はロボットが行い、塗布後は検査カメラで長さ、高さ、幅を測定して良品をお客様に提供ができます。
アルミのプレス部品に適した接合方法です。車両の軽量化ニーズによるアルミ部品の採用により従来のスポット溶接やアーク溶接などの代替として使用が拡大しています。将来はアルミに限らず「アルミ×鉄」「アルミ×樹脂」など異材接合への採用も期待されています。
アルミ製インシュレータにおいて表面に凹凸加工する技術です。エンボス加工により高剛性化することができ、従来より板厚を下げることで軽量化とコストダウンを実現することができます。
知財情報+市場情報を用いた分析手法であるIPランドスケープを開発・営業・事業戦略策定の一手段として役立てています。
また、事業に役立つ有益な特許権の創出を促進するため、USIT(※)を活用することにより若手技術者のアイデア発想スキルの底上げを図っています。
※USIT(Unified Structured Inventive Thinking 統合的構造化発明思考法)・・・技術課題に対し、漏れなく効率的に解決アイデアを量産できる発想手法。
お客様からのニーズに応じた開発と併せて、当社独自製品の開発も行っています。
企画立案→構想検討→構造検討→SE、解析、部品設計(設計変更)を繰返し→試作品製作→試作品評価を実施。そして量産用の製品での最終確認を行い、量産開始です。新たな開発品の誕生には苦労が絶えません。
材料の進歩により超ハイテン材やホットスタンプ材といった高強度鋼板が登場しています。高強度鋼板の使用は車体の軽量化・衝突安全性向上に大きな有効性がありますが、一方で成形・溶接が困難になってしまいます。当社ではお客様のニーズに合った、高品質で低コストな製品づくりを行うため、新たな成形・溶接工法を開発し技術レベルの向上を図っています。
SE(Simultaneous Engineering)とは、開発初期段階から設計者であるお客様と社内の生技・製造部署が連携をとり、より低コストでより作りやすい部品形状を作り込んでいくことです。
要求される性能を満たしながらお客様へ部品形状の提案をする同時進行型開発で、開発期間短縮、品質の向上、コスト削減を実現しています。
お客様から提示される要求性能等の設計要件をもとに、社内要件を織込み、3D/CADにて製品形状を検討・作成・製図します。生産性/低コスト/高品質な製品を目指し、設計しています。
製品形状データを基に面データ(シミュレーションを行う上で必要な仮想実型モデル)を作成します。数値シミュレーションでプレス成形工程を再現して実際の製品パネルでワレやシワが出ないように事前検討します。
当社では、冷間材だけではなくホットスタンプ材の成形解析も行っています。
衝突現象をコンピュータ上でシュミレーションを行い、評価します。
これは自動車部品を開発・設計していく上で、安全性能を確認する重要な作業の一つです。当社はボデー部品の衝突解析を行い、部品がどのように変形するのか、どこに高いひずみ・応力が出ているのかを考察し、対策を考えながら、軽量で低コストの構造をお客様に提案することを目標としています。
機能部品など機械設計を行う上で欠かせない技術です。
強度解析により試作フェーズを簡略化し、開発期間の短縮化が可能となります。
当社ではCAE(Computer Aided Engineering)専門部門があり、強度解析以外にも様々な解析を行っています。
トポロジー最適化解析では、設計したい空間に制約条件や強度目標値等を定める事により、コンピューターが最適解を導きます。
人間では思い浮かばない既存概念にとらわれない斬新な最適化形状は設計者の新たな発想にも繋がっています。
製品パネルが完成した際に、成形解析結果に対してどこがどのように違うかを確認・評価します。
評価方法としては、製品パネルをキャリパゲージや超音波測定器などにより板厚減少率を把握。
3次元測定器により、スプリングバック量を把握します。
板厚減少率・スプリングバック量を解析結果・CAEデータと比較して良し悪しを判断します。
解析結果の数値より悪い場合は、悪化原因を追究していきます。
市場では様々な衝突事故が発生しています。
衝突時にどの様に製品が潰れれば衝撃力を吸収できるのか等を検証する為、製品を高速衝突で破壊し、高速カメラや各種センサーで破壊モードを見える化し、設計開発や衝突解析にフィードバックします。
強度評価には色々な種類があります。引張、圧縮、曲げ、剥離・・・
自動車の機能系製品では様々な使用を想定して評価を行うことが重要です。
パニック操作のような、通常を大きく超える力で操作された場合においても、壊れない安心安全な製品であることを保証する為に、確実な評価を実施します。
自動車が何十年間も使用される事を想定し、機能系製品では数百万回の操作や振動状況下でも絶対に壊れない保証が必要です。
その為に、数ヶ月にも及ぶ耐久評価を行います。
試験に必要な治具の設計も当社試験グループが行っています。
自動車は凍てつく極寒地から灼熱の砂漠地帯まであらゆる過酷な地域を何十年間も走行します。
厳冬のアラスカを模擬した低温槽、真夏の炎天下を模擬した高温槽、サウナの様な高温多湿な環境・・・
様々な環境下での評価が可能です。
「鋼板」から「受注部品」を製造するのに必要な工程(絞、抜、曲 等)と必要なプレス仕様の組合せを検討し設定します。
成形性は成形解析を行い、生産性は製造側とコミュニケーションを取りながら過去の不具合を織込み「後工程で問題が無い」工程設定を目指しています。又、受注部品の条件(生産数、納入場所等)に応じて「生産性」「品質」「コスト」を考慮した最適な工程設定を行っています。
プレス品を溶接するにあたり、品質を安定させる為に産業ロボットを使い行います。
溶接工程設定では安全、品質はもちろんコストを考慮した、機械と人が共存してものづくりが出来る工程を検討しています。
プレス品を取り出して切断し、加工完了品を箱詰めするまでの流れを決めます。
プレス品の運搬や完成品チェックなど、人の作業と加工機との作業バランスを考えながら最適な設備仕様を決定します。
組付工程設定とは、組付ける工程に対して人の動き、設備や部品の配置を必要数に応じて最適で無駄が無い工程を設定しています。
成形シミュレーションを用いて各工程のダイフェースを決定し、それをもとに金型を設計します。
生産プレス機の仕様に合わせ、耐久性や保全性も考慮しながら金型構造を決め、後工程に安心して使ってもらえることを心掛けています。設計した図面通りに金型が完成し、最初のプレス製品ができるまで、設計者は胸が高鳴ります。
部品を溶接、または組み立てるために必要な治具を作業性などを考慮して設計します。
また設計段階で、スポットガンやトーチが容易に入るか、またロボットが溶接姿勢をとれるかなどを3Dデータで確認しながら設計します。
製品の検査をする場合に、測定具だけでは全ての寸法を確認することができません。対象となる部品が、「お客様でどのようにして組み立てられるのか?」、「その場合の基準はどこか?」、「確認しなければならない項目はどこか?」をお客様から入手します。そのうえで、総型ゲージ(製品図面に添った、形状測定用治具)を作製し、お客様の要求にあった品質管理を実施しています。
金型製作とは、工程設定・型設計後に実際に鋳物・鋼材等を製作していく工程であり、大きく分けるとデータ作成・機械加工・仕上げ補正の工程に分けられます。仕上げ補正では、型図面に合うように組み立てられた金型にて製品精度の調整作業を実施し、生産ラインへ出荷します。
冶具製作時には設計した図面を元に、3Dデータを見ながら正確に治具を組み上げていきます。
その後、エア配管やワーク合わせ、電気配線を行い、作りこんでいきます。
既存の設備に載せる場合は電気設計や現地工事まで行います。
大型プレス機の3000tトランスファープレスでは自動生産を行い、毎分20個以上の製品を生産しています。ボルスター(型台)の大きさが6m×2m以上あり、大物部品を生産するプレス機として使用しています。近年の車は軽量化、安全性の強化の為、超ハイテン材料を使用する部位が多くなってきました。3000tプレス機では主に大物部品と超ハイテン部品を量産しています。
プレス品などの構成品を組付・溶接し、お客様への納入品に仕上げます。
スポット溶接・アーク溶接等の一般的な溶接からブレーキペダル等の複雑な組付まで様々なものを自社で生産しています。
客先車両工場から近い拠点では、複数のアッシー品をさらに組み合わせた大型アッシー品を生産しています。
樹脂製品を加工する機械であり、プラスチックの材料(樹脂ペレット)を高温で溶かし、圧力をかけて金型に流し込み(射出)、冷却し樹脂を固めて形を作ります(成形)。
射出成型機の構造は、射出条件を制御するための装置(コントローラー)、材料を溶かして金型に注入するための装置(射出ユニット)、金型の開閉を行ない金型を高圧で保持する装置(型締めユニット)の3つの装置から出来ています。